撮ったり・食べたり・読んだり
祖父は数年寝たきりになった後、亡くなったのだが、
亡くなる数年前の春に「桜が見たい」と言い、
我が家(実家)から100mほどの、区がにわかに桜を植えた
行き止まりの路地に椅子を持っていき、祖父を座らせた。
祖父は何も話さず、桜がハラハラ散るさまを30分ほど見ていただろうか。
もういい、という顔をしたので手を引いて家に帰ったが、
あの時祖父は何を思って桜を見ていたのだろうか。
僕は桜には何の感慨も持たないようにしているが、
毎年あのハラハラ散るさまを見るたびに祖父を思い出す。
明治の生まれで、ごく自然に武士のような雰囲気を持った人だったけれど、
口数が少なく書き物も残さなかったので、
祖父が何を考えて生きていたのかわからない。
父にはそういう風韻はなかったけれど、なんとなく祖父を
密かに尊敬している気配があり、子供の頃の僕は
二人の距離をおいた微妙な空気感が好きだった。
僕は粗忽でおっちょこちょいだったけれど、祖父と父の
「お前のことはわかっているんだぞ」というような視線に甘えて、
より自由に振る舞っていた気がする。
二人であの世で桜などを眺めていてほしいが、
案外仲良く桜の話でもしている気がする。
亡くなる数年前の春に「桜が見たい」と言い、
我が家(実家)から100mほどの、区がにわかに桜を植えた
行き止まりの路地に椅子を持っていき、祖父を座らせた。
祖父は何も話さず、桜がハラハラ散るさまを30分ほど見ていただろうか。
もういい、という顔をしたので手を引いて家に帰ったが、
あの時祖父は何を思って桜を見ていたのだろうか。
僕は桜には何の感慨も持たないようにしているが、
毎年あのハラハラ散るさまを見るたびに祖父を思い出す。
明治の生まれで、ごく自然に武士のような雰囲気を持った人だったけれど、
口数が少なく書き物も残さなかったので、
祖父が何を考えて生きていたのかわからない。
父にはそういう風韻はなかったけれど、なんとなく祖父を
密かに尊敬している気配があり、子供の頃の僕は
二人の距離をおいた微妙な空気感が好きだった。
僕は粗忽でおっちょこちょいだったけれど、祖父と父の
「お前のことはわかっているんだぞ」というような視線に甘えて、
より自由に振る舞っていた気がする。
二人であの世で桜などを眺めていてほしいが、
案外仲良く桜の話でもしている気がする。
PR
春が近づくと、洗面台に落ちる毛の量が増える。
「春秋は抜け毛が多くなるね」などと言うと、
外野は「ハゲるんじゃないの?」というが、それは違う。
僕は秋に夏毛が抜け、少し白い冬毛に生え変わり、
春に冬毛が抜けて黒い夏毛に生え変わる。
ライチョウと呼んでほしい。
ここ数年、お尻にある油脂線から出る脂肪を
クチバシで髪に塗って、防水性を高め水分の蒸発を防ぎ、
髪が痛むのを防いでいる。
白鳥と呼んでほしい。
仕事をしていて肩こりを感じると、大きく腕を上げて
軽く上下させてみる。
手首と肘を柔らかく使い、手のひらに感じる空気を
下に押し下げるようにすると、なんとなく体が持ち上がる。
来年あたり、ワシのように飛ぶかもしれない。
Jesus Christ…。
最近、モミアゲのあたりだけに白髪が増えた。
春になったら黒くなると面白いのに、と話していたが
冬毛じゃないんだから、と言われ、ライチョウが
うらやましくなった。
クセ毛対応シャンプーのKURというのを使ったら、
かなり良くなったのだが、リンスを買い忘れ、
リンス代わりに椿油を髪に塗っている。
かなり高価なので、油脂線があればなぁ、と思う。
僕が飛べるようになっても、飛ばないと思う。
なぜならば、僕は高所恐怖症だから。
「春秋は抜け毛が多くなるね」などと言うと、
外野は「ハゲるんじゃないの?」というが、それは違う。
僕は秋に夏毛が抜け、少し白い冬毛に生え変わり、
春に冬毛が抜けて黒い夏毛に生え変わる。
ライチョウと呼んでほしい。
ここ数年、お尻にある油脂線から出る脂肪を
クチバシで髪に塗って、防水性を高め水分の蒸発を防ぎ、
髪が痛むのを防いでいる。
白鳥と呼んでほしい。
仕事をしていて肩こりを感じると、大きく腕を上げて
軽く上下させてみる。
手首と肘を柔らかく使い、手のひらに感じる空気を
下に押し下げるようにすると、なんとなく体が持ち上がる。
来年あたり、ワシのように飛ぶかもしれない。
Jesus Christ…。
最近、モミアゲのあたりだけに白髪が増えた。
春になったら黒くなると面白いのに、と話していたが
冬毛じゃないんだから、と言われ、ライチョウが
うらやましくなった。
クセ毛対応シャンプーのKURというのを使ったら、
かなり良くなったのだが、リンスを買い忘れ、
リンス代わりに椿油を髪に塗っている。
かなり高価なので、油脂線があればなぁ、と思う。
僕が飛べるようになっても、飛ばないと思う。
なぜならば、僕は高所恐怖症だから。
音や声に無頓着な我が国一般に比べ、
僕は音や声に多少神経質かもしれない。
公共の場所に流れる音声とテレビの音には
「うるさいな」と思うし、商店の店員さんの甲高くて
舌足らずの話し方には「アニメの声優か」と思う。
声優といえば、嫌いなはずのテレビCMの、
「タカギ」という女性の声が好きだ。
蛇口一体方浄水器のCMなのだが、この声を聞くと
「お」と言ってしまう。
以前流れていた東京サマーランドのCMの声も
けっこうステキだった。
やや低めで落ち着いた語り口というのが好きで、
日本の女優さんだと朝加真由美さんの声が好きだ。
朝加さんの顔も好みかもしれない。
低い女性の声ならいいかというと、そうでもないらしい。
宝塚の男役の方の声を魅力的と思わないのがその証拠で、
あれは意識的に低い声を絞り出している感じがするからだろう。
女性アナウンサーの声が魅力的じゃないのは、
声が高い、ということがあるかもしれない。
真偽は不明だが、アナウンサーは「はっきりハキハキと話しなさい」と
繰り返し教育される、と聞いたことがある。
ハキハキ話す、ということは高い声を出すことじゃないんだが、
ハキハキ話そうとすると声が高くなるんだろう。
声優さんにまったく興味がないから、アイドル的な人気を誇る
声優さんがいると聞くが、その存在をまったく知らない。
知っているのは、サザエさんの声優さんたちだけで、
特にタラちゃんは僕のお気に入り。
心なしかタラちゃんっぽい声のロコ嬢に「ステキですー」などと
言ってほしいような、言ってほしくないような。
僕は音や声に多少神経質かもしれない。
公共の場所に流れる音声とテレビの音には
「うるさいな」と思うし、商店の店員さんの甲高くて
舌足らずの話し方には「アニメの声優か」と思う。
声優といえば、嫌いなはずのテレビCMの、
「タカギ」という女性の声が好きだ。
蛇口一体方浄水器のCMなのだが、この声を聞くと
「お」と言ってしまう。
以前流れていた東京サマーランドのCMの声も
けっこうステキだった。
やや低めで落ち着いた語り口というのが好きで、
日本の女優さんだと朝加真由美さんの声が好きだ。
朝加さんの顔も好みかもしれない。
低い女性の声ならいいかというと、そうでもないらしい。
宝塚の男役の方の声を魅力的と思わないのがその証拠で、
あれは意識的に低い声を絞り出している感じがするからだろう。
女性アナウンサーの声が魅力的じゃないのは、
声が高い、ということがあるかもしれない。
真偽は不明だが、アナウンサーは「はっきりハキハキと話しなさい」と
繰り返し教育される、と聞いたことがある。
ハキハキ話す、ということは高い声を出すことじゃないんだが、
ハキハキ話そうとすると声が高くなるんだろう。
声優さんにまったく興味がないから、アイドル的な人気を誇る
声優さんがいると聞くが、その存在をまったく知らない。
知っているのは、サザエさんの声優さんたちだけで、
特にタラちゃんは僕のお気に入り。
心なしかタラちゃんっぽい声のロコ嬢に「ステキですー」などと
言ってほしいような、言ってほしくないような。
近頃は人情話や「お父さんありがとう」と言って泣く花嫁を
テレビで見た時にちょっと涙がにじむ。
やはり歳なんだろうか。
泣くといえば、はるか20年以上も前に、日比谷野音がどこかで
韓国のサムルノリ(4種の打楽器で演奏される音楽)と、
たくさんの太鼓だけで地響きするような韓国の音楽を聴き、
最初は「なにかな?」という感じだったのが、徐々に心が熱くなって、
音楽が白熱してきてからは、思いもよらず涙が滝のようにあふれてきて
泣けて泣けて仕方がなかった。
どうして泣いたかわからないが、あの音楽は心のどこかに響くようなのだ。
シアトル滞在中に、ルームメイトから「教会に行かない?」と誘われ、
気軽に行ってみたら、そこはどちらかというと黒人たちの多い教会で
何を言っているかよくわからない牧師さんの説教があり、
説教が終わって、力強いゴスペルの全員斉唱を聞いているうちに、
体が熱くなってきて、両隣の人と手をつないで「あー!」などと
腹の底から声を出しているうちに、やはり滝のように涙が出てきて
「あ、なんで僕は泣いているんだろ」と思いつつ、号泣していた。
帰宅して、優しいインカの音楽を聴いていたら泣けてきて、
母親からの手紙を読んでは泣き、ネコのスキがあまりに可愛くて泣き、
なんだかこの日は朝から泣きどおしだった気がする。
冒頭に書いたように、人情話に弱くなったのは歳のせいだが、
年齢と共に心が汚れてくるのか、素朴なことでは感動しなくなり
夕陽がきれいだとかきれいな音だなどということに
泣くほど素直に反応しなくなっている気がする。
ただし、最近は、シェラックで塗装した木片のシブい輝きに
泣きはしないが、なんとなく心の底が「グッ」と動くような
不思議な感覚を味わう。
なんだろう、この感覚は。
テレビで見た時にちょっと涙がにじむ。
やはり歳なんだろうか。
泣くといえば、はるか20年以上も前に、日比谷野音がどこかで
韓国のサムルノリ(4種の打楽器で演奏される音楽)と、
たくさんの太鼓だけで地響きするような韓国の音楽を聴き、
最初は「なにかな?」という感じだったのが、徐々に心が熱くなって、
音楽が白熱してきてからは、思いもよらず涙が滝のようにあふれてきて
泣けて泣けて仕方がなかった。
どうして泣いたかわからないが、あの音楽は心のどこかに響くようなのだ。
シアトル滞在中に、ルームメイトから「教会に行かない?」と誘われ、
気軽に行ってみたら、そこはどちらかというと黒人たちの多い教会で
何を言っているかよくわからない牧師さんの説教があり、
説教が終わって、力強いゴスペルの全員斉唱を聞いているうちに、
体が熱くなってきて、両隣の人と手をつないで「あー!」などと
腹の底から声を出しているうちに、やはり滝のように涙が出てきて
「あ、なんで僕は泣いているんだろ」と思いつつ、号泣していた。
帰宅して、優しいインカの音楽を聴いていたら泣けてきて、
母親からの手紙を読んでは泣き、ネコのスキがあまりに可愛くて泣き、
なんだかこの日は朝から泣きどおしだった気がする。
冒頭に書いたように、人情話に弱くなったのは歳のせいだが、
年齢と共に心が汚れてくるのか、素朴なことでは感動しなくなり
夕陽がきれいだとかきれいな音だなどということに
泣くほど素直に反応しなくなっている気がする。
ただし、最近は、シェラックで塗装した木片のシブい輝きに
泣きはしないが、なんとなく心の底が「グッ」と動くような
不思議な感覚を味わう。
なんだろう、この感覚は。
カレンダー
03 | 2025/04 | 05 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 |
web拍手
よろしかったら、ひとつポチンと
プロフィール
HN:
OLDARMY
HP:
性別:
男性
職業:
熟練の事務員
趣味:
写真人・料理人・読書人・ベランダ菜園家・木工人
自己紹介:
★写真/EOS7Dでスナップ
★料理/中華と和食とマフィン
★本/SF・自然科学・ドキュメンタリ
★ベランダ菜園/13年目
★木工生活6年目
リンクをたどってみてください
★料理/中華と和食とマフィン
★本/SF・自然科学・ドキュメンタリ
★ベランダ菜園/13年目
★木工生活6年目
リンクをたどってみてください
最新コメント
[05/28 OLDARMY]
[05/27 マス号]
[05/21 OLDARMY]
[05/21 rita]
[05/02 OLDARMY]
[05/01 マス号]
[04/11 OLDARMY]
[04/11 けぇこ]
[04/08 OLDARMY]
[04/07 マス号]
リンク
カウンター
カテゴリー
アクセス解析
monoclip!