撮ったり・食べたり・読んだり
98年の暮れに、NYの写真師匠を訪ねたのは前述の通り。「コリアン・タウンの隣にインド人街がある」と写真師匠から聞き、早速次の夜に行ってみた。
基本的に碁盤の目の街づくりをしているマンハッタンでは、タクシーに乗り「〇〇アヴェニューと〇〇ストリート」というと目的地の至近に行かれ、ビルの番号(奇数なら南側、偶数なら北側などと街ごとに法則性がある)で目的地がドンピシャわかる。
で、タクシーを降りて「地図上ここだな」という場所には、なんとなく人が出入りしている建物があった。すぐに「店」と思えなかったのは、派手な照明も看板もなかったからで、それでもその建物の前に立つとカレーの匂いがしたので「店」とわかったのだ。
さて、店内へ入ると、正面にカウンターらしき設備があった。「カウンターらしき」と書いたのは、照明があまりにも暗く、カウンターだと思ったのは実はショーケースで、そのショーケースの中には菓子のようなものが入っているが、照明が暗すぎてそれが「菓子らしい」としか見えなかった。
「いらっしゃいませ、何人ですか?」と突如スーツがしゃべった。いや、スーツがしゃべったんじゃなくて、スーツを着た浅黒い顔のウェイターらしき人がしゃべったので、「あ、二人」と僕は答えた。「では、二階へ」とスーツに案内されて二階に上がったら、そこも真っ暗で、テーブルに小さなキャンドルが灯っていただけだった。スーツは香水のいい香りがした。
あまりに暗くてメニューも見えなかったが、その極小のキャンドルの光を当ててメニューを見ようとしたら、メニューの文字がこれまた小さくて、なんだかわからないので、野菜と豆のカレーとラムのカレーを頼んだ。
数分後、鼻先にいい匂いがしたな、と思ったら、カレーが出てきた。「ラムはどちら?」と聞かれたので、「僕」と答えるとカタッと小さな音がして僕の目にカレーが置かれた。数分しても目が暗闇に慣れず、カレーの皿に覆いかぶさるようにしてやっと皿の中身が見えるくらいで、「スプーンはどこだ?」とテーブルを手で探ると端の方にカチャリと何かが手に触れた。両手でそれをなでると、フォークだった。う~ん。
手探りでナンをつかみ、ちぎっては口に放り込み、スプーンを皿と思われる場所に突っ込んでカレーを食い、それでも匂いと味は最高なので、バクバク食べた。とても美味しかったが、何も見えない、というのは不思議な感覚だった。
そばを香水の香りが通り過ぎたので、「いくらかね?」と聞いたら、「フォーティーン・プラス・チップ」と答えたので、「一人14ドルとは意外に高いなぁ」と思いつつ、28ドルとチップ4ドルをテーブルに置いて、真っ暗な階段を下りて外に出た。
帰りのタクシーを拾おうと左右をキョロキョロしていたら、店の中からスーツ姿のスラッとした男が出てきて、「あなた間違ってる」と言い、16ドル返してくれた。合計で14ドルだったのだ。
スーツからは香水の匂いがしたから、彼はあのウェイター氏だった。
しかし、なんでまた、ああも店内が暗いのだろう。もう少し明るかったら美味しく食べられるのになぁ、と写真師匠に報告したら、「皿やテーブルが汚くて、それを隠したいのかもしれないな」と言っていた。なるほど。
基本的に碁盤の目の街づくりをしているマンハッタンでは、タクシーに乗り「〇〇アヴェニューと〇〇ストリート」というと目的地の至近に行かれ、ビルの番号(奇数なら南側、偶数なら北側などと街ごとに法則性がある)で目的地がドンピシャわかる。
で、タクシーを降りて「地図上ここだな」という場所には、なんとなく人が出入りしている建物があった。すぐに「店」と思えなかったのは、派手な照明も看板もなかったからで、それでもその建物の前に立つとカレーの匂いがしたので「店」とわかったのだ。
さて、店内へ入ると、正面にカウンターらしき設備があった。「カウンターらしき」と書いたのは、照明があまりにも暗く、カウンターだと思ったのは実はショーケースで、そのショーケースの中には菓子のようなものが入っているが、照明が暗すぎてそれが「菓子らしい」としか見えなかった。
「いらっしゃいませ、何人ですか?」と突如スーツがしゃべった。いや、スーツがしゃべったんじゃなくて、スーツを着た浅黒い顔のウェイターらしき人がしゃべったので、「あ、二人」と僕は答えた。「では、二階へ」とスーツに案内されて二階に上がったら、そこも真っ暗で、テーブルに小さなキャンドルが灯っていただけだった。スーツは香水のいい香りがした。
あまりに暗くてメニューも見えなかったが、その極小のキャンドルの光を当ててメニューを見ようとしたら、メニューの文字がこれまた小さくて、なんだかわからないので、野菜と豆のカレーとラムのカレーを頼んだ。
数分後、鼻先にいい匂いがしたな、と思ったら、カレーが出てきた。「ラムはどちら?」と聞かれたので、「僕」と答えるとカタッと小さな音がして僕の目にカレーが置かれた。数分しても目が暗闇に慣れず、カレーの皿に覆いかぶさるようにしてやっと皿の中身が見えるくらいで、「スプーンはどこだ?」とテーブルを手で探ると端の方にカチャリと何かが手に触れた。両手でそれをなでると、フォークだった。う~ん。
手探りでナンをつかみ、ちぎっては口に放り込み、スプーンを皿と思われる場所に突っ込んでカレーを食い、それでも匂いと味は最高なので、バクバク食べた。とても美味しかったが、何も見えない、というのは不思議な感覚だった。
そばを香水の香りが通り過ぎたので、「いくらかね?」と聞いたら、「フォーティーン・プラス・チップ」と答えたので、「一人14ドルとは意外に高いなぁ」と思いつつ、28ドルとチップ4ドルをテーブルに置いて、真っ暗な階段を下りて外に出た。
帰りのタクシーを拾おうと左右をキョロキョロしていたら、店の中からスーツ姿のスラッとした男が出てきて、「あなた間違ってる」と言い、16ドル返してくれた。合計で14ドルだったのだ。
スーツからは香水の匂いがしたから、彼はあのウェイター氏だった。
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